ダイエットを目的として運動するなら、効果的に痩せたいと考える方も多いのではないでしょうか。運動といっても、有酸素運動と無酸素運動と2種類について確認して、痩せるためにはどのくらいの運動量と頻度が必要なのか解説します。また、室内と屋外それぞれでできる、痩せるためにおすすめの運動メニューをご紹介。運動後のストレッチとあわせて、効果的に痩せる方法について詳しく解説します。
運動には2種類ある
皆さんは一言で「運動」といっても、2種類あることをご存じでしょうか?運動は「有酸素運動」と「無酸素運動」とに分けることができます。まずは、「有酸素運動」と「無酸素運動」の違いと特徴について見ていきましょう。
①有酸素運動
有酸素運動とは、筋肉を収縮させるときのエネルギーに酸素を使う運動のことを言います。一般的に、軽~中程度の負荷をかけて長時間継続して行える運動が多くあります。ここまでを読むと難しく感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、身近なものでは、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などが代表的な有酸素運動として挙げられます。有酸素運動を始めて一定の時間が過ぎると、体の脂肪がエネルギー源として消費されていきます。つまり有酸素運動は体脂肪を減らして筋肉をつけやすい運動で、ダイエットに最適と言われているのです。有酸素運動でダイエット効果を出すためには、息を切らすようなハードな運動を行うのではなく、息が上がらない程度の負荷で長時間継続していくことが大切です。これによって、基礎代謝が上がったり、心肺機能の向上なども期待できます。
②無酸素運動(筋トレ)
無酸素運動とは、有酸素運動とは真逆で、酸素を使わない運動のこと。筋肉にため込まれている糖をエネルギー源に、筋肉を動かして運動していきます。例えば、筋トレ、短距離走などが挙げられ、高い負荷を筋肉に瞬発的にかける運動です。有酸素運動よりもハードで、息が上がりやすい運動が無酸素運動といえます。有酸素運動が脂肪を燃焼する効果があると聞くと、無酸素運動はダイエットには不要と思われるかもしれません。しかし筋トレのような無酸素運動を行うことは、体の筋肉を増やすことにつながります。筋肉量が増えれば、日々の生活で必要となる基礎代謝が上がり、よりエネルギーを消費して痩せやすい体になっていきます。そのため、効果的に痩せるためには、有酸素運動と無酸素運動を上手に組み合わせていくことが鍵となるのです。
瘦せるために必要な運動量と頻度
ダイエット目的で運動する際、「痩せるためにはどのくらい運動したら良いの?」と思いますよね。運動量について考える前に、まず私たちが痩せるための原理原則を考える必要があります。皆さんは、摂取エネルギーと消費エネルギーという言葉をご存じでしょうか。食事で得られるのが摂取エネルギーと言われ、体を動かして消費するのが消費エネルギーです。 摂取エネルギーが消費エネルギーより多いと、余分なエネルギーがあまって脂肪として蓄積されてしまいます。これが、太ってしまう原因なのです。しかし、消費エネルギーが摂取エネルギーを上回れば、不足するエネルギーを体内の脂肪で補うことになり痩せていきます。
摂取エネルギーと消費エネルギーの一例をあげると、早めのウォーキングを1時間行うと消費するエネルギーは210kcal。ごはん1杯分のカロリー(190kcal)とほぼ同等です。
運動は毎日行う必要はなく、筋肉を休ませながら週2~3回程度を目安に、継続して運動していくことがいいと言われています。
結論、痩せるために必要な運動量と頻度は摂取エネルギーに依存するので、普段摂取しているエネルギーを計算して、それを消費エネルギーが上回るよう運動量・頻度を設計しましょう。
お家など室内でできる痩せるための運動メニュー
では、具体的に痩せるために行うと効果のあるといわれている運動メニューをご紹介します。まずは自宅などの屋内でできる運動です。
運動メニュー①筋トレ
前述したように、筋トレは無酸素運動の代表格です。ダイエットに直結しにくいと思われるかもしれませんが、体の筋肉量を増やしていくことは基礎代謝を上げて痩せやすい体に導いていくために、とても大切です。基礎代謝とは、内臓を動かすなど人が生きていくために必要となる最低限のエネルギーのこと。この基礎代謝量を上げることで、特に運動を行わなくても日常で消費するカロリーが上がり、痩せやすくなっていくのです。しかも無酸素運動は1回あたりの運動時間が短くてもいいため、忙しい方が効率的に痩せていくためにもおすすめ。具体的な筋トレ方法は、体の中でも大きな筋肉の部位を鍛えることが効果的です。例えば、足は体の中でも大きな筋肉なので、スクワットやレッグプレスなどを取り入れると良いでしょう。
運動メニュー②ステップ運動
ステップ運動とは、踏み台を使って上り下りする運動のことを指します。ステップ運動は有酸素運動にあたります。ステップ運動を行う際には自宅などの階段、段差にて行うことができます。専用の器具や広いスペースは不要なので、誰でも気軽に短時間で取り組める、ダイエットに向いた運動のひとつです。
やり方はとても簡単です。片方の足で台(階段)に上がり、もう一方の足も上げます。次に最初の足を下してもう一方の足も下す、という動作を繰り返していくだけです。段差が高いほど負荷が高くなっていくので、最初は段差の小さいところから始めて、慣れてきたら段差を大きくするといいでしょう。このステップ運動は、最低でも20分程度行うことがおすすめです。リビングでテレビやスマホなどを見ながらでも問題はないので、まずは20分を目安に続けていくと良いでしょう。
運動メニュー③エア縄跳び(アンクルホップ)
アンクルホップは、縄跳びを行う動作に似ていることから「エア縄跳び」と言われる運動のことです。アンクルポップには縄跳びは必要なく、道具や器具も不要です。こちらの運動も有酸素運動に分類されます。やり方は、縄跳びを飛ぶようなイメージで、両足を上下に跳ねるだけです。両足をジャンプをするので、ふくらはぎの筋肉を刺激することができます。高く飛ぼうとする必要はなく、継続していくことを意識しましょう。
飛ぶ動作は非常に体力を使います。回数で目標を立てるのではなく、時間を測っていくといいでしょう。最初は3分継続することを目標にスタートしてみて、できるようになったら10分や20分と長く継続していきましょう。ふくらはぎを意識して取り組み、膝をあまり曲げないように注意していくといいでしょう。
運動メニュー④フラフープ
フラフープが1本あれば、狭い限られたスペースでもダイエットに向いた運動ができます。十分にスペースがあり、周囲に物や人がいなければ、自宅でもできる効果的な有酸素運動です。フラフープと聞くと、子どもの遊び道具と思われるかもしれませんが、ダイエットにも非常に有効な器具です。特に腰まわりをよく動かすため、ウエスト周辺のたるみに効果的といわれています。しかも、一度トライしてみるとわかりますが、全身を使う運動のため、数分間行うだけでも体が温まります。継続することで体全体のバランスが整えられるため、骨盤が正しい位置に戻っていきやすいです。すると、ぽっこりお腹が解消されたり便秘改善が期待できたりします。フラフープのやり方は、腰を前後に動かしていくイメージで1回10分程度を目安に行いましょう。右回し、左回しとそれぞれを行い、左右をバランスよく鍛えていくと良いです。
運動メニュー⑤腿上げ(もも上げ)
その場でももを高く上げて足踏みしていく「腿上げ(ももあげ)」。こちらも、誰でも自宅で簡単に始められる有酸素運動のひとつです。やり方は非常にシンプルで、まず足を肩幅に開きます。背筋を伸ばした状態で、片足のももを床と並行になるくらいまで高く上げます。もう片足も同じように高く上げる動作を繰り返し行いましょう。足踏みのように軽快なスピードで行うのではなく、ゆっくりしたスピードでひとつひとつの動作を確認しながら行うといいでしょう。腿と同時にお尻の筋肉も鍛えることができます。
運動メニュー⑥ラジオ体操
誰もが小学校で習うラジオ体操。とてもシンプルな体操ですが、全身の関節や筋肉を使う運動で、全身の血行を促進して代謝アップにつながります。ラジオ体操を一通り行うと、体がポカポカしてくるのは、血流が良くなっているサイン。健康維持にも効果的と言われる運動で、ダイエットにもつながりやすいでしょう。
姿勢と呼吸を意識しながら、ひとつひとつの動作を丁寧に行うと、体のゆがみを整えたり、運動不足解消になったりします。ラジオ体操の効果を高めるためには、呼吸を止めずに続けて、毎日できるだけ継続していくことが大切です。
屋外でできる痩せるための運動メニュー
次に、屋外でできる運動メニューをいくつかご紹介しましょう。
運動メニュー①ウォーキング
体に大きな負担をかけずにダイエット目的で始めやすい運動が、ウォーキングです。運動習慣がない方や、運動に苦手意識がある方などでも、ハードルが低く始めやすい運動の代表格でしょう。有酸素運動なので、30分以上のウォーキングがダイエットには効果的です。なれてきたら、1時間ほどを目安にしていただくと良いでしょう。簡単な運動ですが、意識すべきポイントは複数あります。背筋を伸ばして、視線は前方の遠くに向けて、普段の歩きよりも少し早めのスピードを意識していただくとより効果的です。
普段の買い物の際に、普段より遠いスーパーまでウォーキングを兼ねて歩いたり、通勤の際に一駅手前で降りて歩いたり、普段の生活のなかで取り入れるのがおすすめです。周囲の景色を眺めたり、季節の変化を感じることもできますので、心と頭をリフレッシュできる効果も期待できます。
運動メニュー②ランニング
ランニングは、ウォーキングよりもやや強度が高い有酸素運動です。「ゼイゼイ」と息が切れるような早いスピードではなく、軽く会話ができるような無理のないスピードで行うのが大切。有酸素運動は20分以上続けていくことで、脂肪が燃焼しやすくなっていくと言われています。ですから、20分以上を目標に、速さよりも時間を重視して行ってみてください。はじめは短い時間をゆっくり行うことから行って、体が慣れてきたら少しずつ運動時間を長くしたり、スピードを少しずつ上げたりしてみるといいでしょう。
運動メニュー③サイクリング
サイクリングも有酸素運動です。ウォーキングやランニングでは全身の体重を両足で支えなければならず足腰に負担がかかりますが、サイクリングでは自転車に乗るため足腰への負担が少なく、主に下半身の筋肉を中心に鍛えられます。腰痛持ちの方や足腰が弱い方におすすめの運動です。
またウォーキングと同様に、普段の生活で取り入れやすいというメリットもあります。普段は電車に乗る場所まで自転車で出かけてみたり、隣町のスーパーまで自転車に乗って買い物に出かけたりするといいでしょう。交通費の削減にもなって、ダイエット効果も得られるので、一石二鳥です。できれば1回30分以上を目安に、サイクリングを行うといいでしょう。
運動メニュー④階段の上り下り
屋内でできる運動で「ステップ運動」をご紹介しましたが、屋外で階段があればぜひその上り下りを行いましょう。階段を上ったり下りたりする運動は、太もも、お尻などの下半身の筋肉を使うため、足腰が鍛えられて痩せやすくなります。しかも下半身の血流が良くなって、新陳代謝のアップや老廃物の排出にもつながりやすいでしょう。外出先で階段があったら、エスカレーターやエレベーターを使わずに、できるだけ階段を利用するように心がけるのもいいでしょう。姿勢を良くして、足元に気を付けながら上ったり下ったりを繰り返してみて。毎日の小さな心がけとその継続が、痩せやすい体づくりにつながっていくのです。
運動メニュー⑤水泳
水泳は有酸素運動のひとつで、効率的にエネルギー消費できる全身運動です。有酸素運動の中でも、ウォーキングなどに比べると運動強度が高めで、継続して行うことで脂肪燃焼につながりやすいと期待できます。また水中での運動は、浮力によって腰などの体への負担が軽減されます。しかも心肺機能の向上も見込めるので、より健康的になりやすいでしょう。クロールや平泳ぎなどができるなら、ゆっくりと泳いでいきましょう。もし泳ぎが苦手なら、水中ウォーキングもおすすめ。足腰に負担をかけずに基礎代謝を高めていくことができます。プールから上がると心地よい疲労感を感じられて、リフレッシュできるはずです。
運動前後のストレッチも重要
ストレッチは、運動の前や後に行うことでその効果を高めることが期待できます。ストレッチで普段使わない筋肉をじんわりと伸ばしていくことは、「気持ちいい」と感じるもの。自然な呼吸をそのままキープしながら、ぜひ続けていくと良いでしょう。また、反動をつけずにゆっくりと行うようにしましょう。
運動前のストレッチ方法
運動前のストレッチは、体全体の柔軟性が高まりケガの予防につながります。使っていない筋肉は凝り固まっているもの。そこでストレッチして筋肉を温めて柔らかくすると、筋肉が伸びやすくなっていきます。すると全身が温まって柔軟性も向上し、その後に行う運動がしやすくなります。運動前のウォーミングアップや準備運動の一環に、ぜひストレッチを取り入れるといいでしょう。
運動後のストレッチ方法
筋トレの後にストレッチを行い、筋肉や関節を伸ばしていくと、筋肉の疲労回復を促せます。運動すると筋肉も体も温まっている状態なので、より深くストレッチしやすくなっています。しかも気持ちよくストレッチできれば、心身をリラックスできるので、運動後のクーリングダウンとして最適。運動の前後にストレッチを行うことを習慣化すれば、よりしなやかで疲れが残りにくい体になっていくでしょう。
ここでご紹介した運動などを取り入れて、ダイエットしていくためには、次のことにも気を付けるとなおいいでしょう。
効率よく瘦せるための運動方法とは
ここでご紹介した運動などを取り入れて、ダイエットしていくためには、次のことにも気を付けるとなおいいでしょう。
目標を設定する
ただ漠然と「痩せた方がいいかな」や「少し体を絞ろう」と目標があいまいになっているよりも、効率的に痩せていくためには、目標を設定することをおすすめします。具体的な数値を出して、例えば「体脂肪率を〇%から〇%まで下げる」や「2か月で3㎏痩せる」など立てると、その目標に向かってモチベーションを維持しやすくなります。仕事や家事をしたり、学校に通いながらダイエットをしていると「今日は仕事で疲れているから、運動したくない」と思う日があったり、挫折しかけることがあるかもしれません。そんなときにも、明確な目標を立てておくことで、その目標達成に向かって、少しずつでも運動する意識につながり、ダイエットが進みやすくなります。ただし、「1か月で10㎏体重を落とす」など無理な目標を作るのはNG。現実的で無理のない目標を設定しましょう。自分に合った目標が分からない場合は、プロのトレーナーや知識がある方に相談するのがおすすめです。
運動に最適なタイミング
効率よく運動して痩せていきたいなら、運動にベストなタイミングを知り、そのタイミングで運動しましょう。もっとも運動に適していると言われるのは、体温が高くなる夕方頃。このタイミングでは、よりカロリーを消費しやすくなります。一方で、朝起きてすぐの時間帯や、食事前の空腹の状態、食後、寝る前は運動に適さない時間帯。特に食事の前後1時間程度は、貧血を起こしたり食べ物の消化のために血液が胃に集中していたりするため、激しい運動は避ける方が良いでしょう。
運動で痩せるために注意したいこと
運動して痩せていくなら、いくつかの注意点もあります。食事や睡眠などの生活面で注意を払うことで、運動の効果を最大限に引き出せるようにしましょう。
食生活を見直す
運動して痩せたいと考えているのなら、ぜひ食生活についても見直しを行いましょう。例えば、油をたくさん使う料理や揚げものなどをたくさん食べ続けていたら、いくら運動を頑張ってもその成果が表れにくくなります。運動を行いながら、食事面でも気を付けることで、より痩せやすい体になっていくでしょう。
普段できることは、ごはん(お米)をおかわりしない、ビールを低カロリーやカロリーオフのものにする、揚げ物やお菓子は週1回に減らすといったこと。そんな小さな心がけでも、運動の成果が見えやすくなるはずです。また、筋トレで筋肉量を増やすためには、たんぱく質の摂取も大切。大豆製品、肉類などの良質なたんぱく質の摂取も心がけましょう。
水分補給をしっかりする
体重を落としたいと思っていると、運動しても水分をあまり摂取せずに我慢する方がいるかもしれません。またひとつのことに集中するタイプの方は、水分補給を忘れて夢中になって運動することがあるかもしれません。しかし、運動して汗をたくさん流して、そのまま十分な量の水分を補給しないままだと、体は脱水症状となってしまって危険です。運動の前や後、運動の途中も、適度に水分を摂取しましょう。できれば、ミネラルや塩分・糖分も含まれたスポーツドリンクの方がおすすめです。たくさんの水分をとることで、よけいに新陳代謝がアップして、体内の老廃物が排出されて健康的な体になります。
摂取カロリーを抑えすぎない
ダイエットをすると決めると、運動とあわせて、食事の量や回数を減らそうと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、筋肉をつけて健康的に痩せていくためには、激しい食事制限を行ったり、摂取カロリーを抑えすぎたりすることはおすすめできません。栄養バランスのとれた食事をとることで、体の疲労回復が促されて、トレーニングによる新しい筋肉がついていきます。そのため、ハードな食事制限などはせずに、先に紹介したような食生活での小さな心がけを続けていく方が大事。それに、無理なカロリー制限は、ストレスのもととなって、リバウンドを起こすことになってしまう可能性もあります。
睡眠を重視する
ダイエットには、睡眠もとても大切です。良質な睡眠を十分な時間取れていれば、精神的にも健康的な状態を維持できますが、睡眠不足になるとホルモンバランスが崩れて食欲が増えて食べすぎを招いたりする可能性があります。また、筋トレなどの運動による疲労をしっかり回復することで、心もリフレッシュできることでしょう。
屋内・屋外の運動を取り入れて痩せよう
ダイエットには、糖質制限、カロリーコントロールなどの方法がありますが、もっともおすすめなのは運動を行うもの。自宅の部屋でできる簡単なものなら、忙しい方でも隙間時間を利用してすぐに始められるし、天候や季節を問わず続けやすいメリットがあります。また屋外で行う運動は、周囲の景色を眺めたりしながら、よりリフレッシュして楽しめることもあるでしょう。そんな運動を取り入れながら、食事などの生活面にも気を配ることで、効率的に痩せていくことができます。ぜひ理想のボディを目指して、運動で痩せていきましょう。